2019年09月03日

土を耕すように関わる

AN9SHlsQSpCGFYP0q1BoZA.jpg先日、ある行事を作り上げるときの進め方について、少し考えることがあって立ちどまった。

子どもがアイデアをたくさん出してお祭りを行った。
自分たちで考えて、自分たちで作り上げる、本当の手作りのお祭り。

どんなコーナーをやるか話し合った末、アイデアの一つにゲームセンターにあるゲームを再現したお店がやりたいという意見が挙がった。

そこを担当した一人の職員。
手先が器用でとても一生懸命な人である。

その職員は、驚くべき装置をネットで調べ、まるで本物のように動くマシンを段ボールで作ることにした。
担当の子どもたちに仕組みを説明してはみるが、全く難しくて、理解できる子は2~3人。
プライドの高い3年生はわかってはいないけれど、1年生たちの手前「わからない」と言えずに黙っている。


その職員の手ほどきで子どもたちはマシンを作っていく。
繊細で壊れやすいそれは、製作中何度も壊れる。
そのたびに仕組みを理解している3年生がせっせと直す。
作り方も直し方もわからない1,2年生は蚊帳の外。
1年生はマシンに手を出すことも許されず、2年生は作ってみてもすぐ壊れるそれにいらいらして自ら壊してしまう、なんてこともあった。
退屈な1,2年生は準備を抜け出したり、ふざけて3年生の作ったものをいじってまた壊してしまったり。
行事が迫り、準備も大詰めになったとき、退屈している1,2、年生にその職員は
「お願いだから3年生と最後までやらせて。あなたたちはおとなしくしていて」とつい言ってしまった。

行事当日。
マシンは当日も壊れたりしながらもなんとか最後までこぎつけた。
素晴らしいマシンを作った職員は保護者の驚きと賛辞を受けて、誇らしそうだった。

「壊れてもおれがいつでも直してやるからって3年生のIが言うんです」
「各マシンに一人ずつ、まるでエンジニアみたいにつく3年生の子たちがいて」
終わってからも満足げに話す職員。

よかった、と思う一方で、私はもやもやしたものが残る。

確かにその職員はとても頑張った。
マシンも素晴らしいものができた。
でもこのもやもやはなんだろう。

別の職員と話していてやっとその正体がわかった。

これは「形だけの子どもの参画」だったからだ。
ゲームセンターにあるゲームを再現することは子どもの思いでもあった。
ただ、それは技術的にも材料や予算的にも現実的ではない。
ならば「どうすればゲームセンターにあるあのゲームのように楽しいものができるか」を子どもと一緒に考え、どうしたいか、何ならできるかを考える工程が必要だった。
それをまるまる飛ばしているのである。

大人が考えた組み立て説明書を読んで、言われるがままに組み立てただけなのだ。
自分たちで考えた絵をそこに描こうとも本質的なものは変わらない。
技術についてこられない1,2、年生をすっかり置いてきぼりにして、子どもの参画をやった気になっていた。

表面的には楽しかったかもしれない。
でもそこに育ちがあったか。
このまつりを通じて、どんな成功体験と失敗と新しい自分の発見があったのか。
見た目がかっこいいものを作ることが目的ではない。
どんなに拙くとも、簡易であろうとも、子どものアイデアを取り入れたものにはそれにしかない輝きがある。
誰のために作ったのか?誰を満足させたかったのか?

一番問題なのは、お膳立てした環境の中で思うように動いた一部の子どもを褒めたたえ、わからない、できない、やりたくなくなった、という子どもたちから目をそらしたことだった。

近所のおまつりのお手伝いならそれでもいい。
でもここは学童クラブ。私たちは素人ではない。
この大きなイベントで子どもたちはぐんと成長できる貴重な場なのだ。

自分の頭で考え、自分に何ができるかを探り、工夫を凝らし、実際に手を動かして、失敗もして、成功した喜びも知る。
立派に根っこを張れるように、子どもたちの自我の土壌を深く柔らかく耕してやらねばならないのだ。
低学年とはそういう時期。
一緒に耕して、いろんな作物を実らせる準備をしてやる。
高学年になったら、そこにどんな種を植えようか、どんなふうに育てようかを考えるサポートをする。

今回の出来事はほとんど耕していない土に買ってきた花をさっと植えただけなのだと思う。

泥臭い仕事である。
それでも丁寧に丁寧に耕してやると、きっといつか、豊かに実った姿を見せてくれる。
それはとても時間のかかること。
すぐに答えなんか出ないのだから、のんびりゆっくり耕しながら、日照りも雨も一緒に乗り越えていくのかもしれない。
失敗したって間違えたっていいんだよ。
いつもいつも、子どもにそう言いながら進んでいきたい。
担当の職員にも話してみようと思う。



posted by Nuts-camp at 15:13| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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